ひとえに牛タンといえど仙台の牛タン専門店で出される牛タン焼きから、スーパーで売っている牛タン、焼肉屋さんで出されているタン塩まで、その種類は多種多用です。今回はそんな牛タンに関する、「牛タン焼きってちょっと高い?」、「タン塩と牛タン焼きの違いは?」といった素朴な疑問にお答えします。
現在、仙台の牛タン専門店で出されている「牛タン焼き定食」の相場は1,200円から1,400円ぐらい。サラリーマンのお父さんや、学生さんなど僕らが、毎日お昼のランチとして食べ続ける食事としては、少々高級な感じがします。
「せっかく仙台に来たことだし・・」、「彼女とデートだから」、「気分もいいし今日はちょっと贅沢をして」などなど、そんな声が聞かれる価格には実はこんな背景があるようです。(もちろん毎日食べる常連さんもたくさんいるようですよ♪)
通常、大部分の牛タン専門店では”牛タン焼き”に使うのは、原料の柔らかい箇所だけを限定しているそうです。
一般に量販店に並ぶような堅い部分は贅沢にも全て切り捨ててしまい、最終的に使用する部分は、原木と呼ばれるビール瓶大(1.5kg)ぐらいの原材料の、なんと!半分ほどしか使用しないというから驚きです。(約3~4人前程度)
一般的には図の中で、「ミドル」と呼ばれる部分やタン元の柔らかい部分を厳選して使用されているそうです。
ところで、本場・仙台の牛タン焼きと、焼肉屋さんで出されているタン塩とは何が違うんでしょう?
仙台の牛タンの場合は材料を厳選するという話は先ほど、お話しました。しかし、もう一つ大きな違いがあります。それは、仙台牛タンの場合、原料である牛タン(原木)を皮むきし、分厚くスライスした後に、数日をかけて、「仕込み」といわれる熟成作業を行うところにあります。
その工程は、温度管理から湿度管理、熟成期間にいたるまで、まるで手造りの日本酒を醸造するような繊細な作業と言われています。また、この仕込み作業はお店毎によって違った方法で行われることや、味付けも同時に行われることからお店の味の決める重要な作業であると言えます。
一般に焼肉屋さんで出されるタン塩の場合には、こうした仕込み作業はなしに、皮むきした後にすぐに盛り付けがされ、お店に出されます。一般に仙台の牛タン焼きはこうした長い仕込み作業を経て、あの分厚いのに柔らかくて、風味の豊かな牛タン焼きが完成されます。
仙台牛たん焼きの主な原料の産地はアメリカ産とオーストラリア産です。牛の育て方によっても味が変わってしまうため、お店ごとにパッカー業者を細かく選別しています。
仕込みは牛タンを分厚くスライスした後に、じっくりと数日間かけて熟成させます。この熟成の期間を経て、仙台の牛タン独特の旨みが閉じ込められ風味が生まれます。
仙台の牛タン専門店では焼き方は常に本格炭火焼きにこだわりっています。網焼きにすることで脂分がスッキリと落ちて、ほのかな炭の香りが食欲をそそります。
こういった背景をふまえ、様々なお店の牛タン焼きを食べ比べてみると、お店ごとの味の特徴や違いがよくわかります。食べ慣れた方だと、まるで利き酒師のように、そのお店の牛タン焼きの産地やどのような製法で作られているかまで細かくわかるほどです。
ひとえに仙台の牛タン焼きといっても、お店によって様々な特徴、味わいがあります。各店の味を食べ比べながら、牛タン屋さんをハシゴしてみるのも一つの楽しみ方かもしれません♪